中小企業は”一応の”説明責任を果たそう(同一労働同一賃金への対応)
最高裁判決や同一労働同一賃金関連法により、パートや有期労働者と正社員との間で不合理な格差は許されないとされています。
司法、行政、立法の見解が微妙に異なり、弁護士、役所、学者たちがそれぞれの立場で好きなことを好きなように主張をぶち上げています。
今後何をどこまでやっておけば良いのか、中小企業経営者にとってサッパリわかりません。
シンプルに考えると、「パートや有期契約労働者であることを理由として、不合理な処遇格差はダメですよ」ということです。
これだけのことを言っています。
あくまで格差是正の一環なのです。
今後はパート等から不合理な格差だと主張された場合、会社は一定の説明責任を負います。
一定の説明責任とはその差異の理由を問われたら、”一応説明できる”レベルで構いません。逆に全く説明ができない給与格差、手当のつけ方であれば、「それは不合理な格差だから差額を要求する」と裁判・労働審判や行政ADRの場で反撃されてしまうかもしれません。
近時の最高裁の裁判例は運送業のドライバーでしたので、正社員と全く同一の職務で人事評価も不能であったことから、一応の説明も難しかったのです。
しかし、「同じものは同じように、違うものは違うように扱う」というのが平等であり公平なのです。
職務の内容、配置転換の範囲、転勤の有無、業績評価、能力、勤続、年齢等々に差異に基づき処遇にも差異を設けるのは当然であり、経営裁量です。
この経営裁量の中身を一応説明できるようにしておくことです。
書面化されているとなお望ましいです。
“一応の”説明責任の具体例を申し上げましょう。
有期契約労働者の基本給が正社員の7割程度であったとします。
この場合、理由の説明を求められたら、①会社の人件費が限られていること、②正社員には転勤の負担等があること、③正社員はクレーム等が発生したら責任をもって対応する義務を負うこと、④有期労働契約者については時給等賃金全体で調整を図っていること等です。
「なんで3割も違うのか?」労働組合はさらなる説明を要求しますが、そんなこところまで説明はできませんし、相手の納得を得るまでの説明義務まで求められているわけではありません。
一方、通勤手当、皆勤手当、家族手当などの手当は正社員とパート・有期契約労働者とで差異を設けた場合、一応の説明自体が極めて難しいといえます。
また、職務手当や成果手当など特に職務や成果に関係なく正社員には全員ついており、パート・有期契約労働者にはついていないとします。
このような昔からついている”特に意味もない手当””社長も知らずについている手当”も説明がつきませんので注意が必要です。
中小企業は現在の司法・行政・立法の各当事者の意見を聞きすぎると混乱します。
独自見解も多いです。
そのような議論は学者や法律家の方に任せましょう。
中小企業はしばらく様子見の感があります。
しかし、学者・法律家の見解を参考にしながらも、一般人の感覚で”一応の”説明責任が果たせるレベルへの改善には一歩踏み出すときが来ているといえるでしょう。
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