障がい者の就労の現状と今後のあるべき姿

障がい者の就労は、障がい者雇用A型就労、B型就労がありますが、その現状はまだまだ厳しいのが現状です。この記事では、私の体験を元に障がい者の就労の現状について解説していきます。

 

障がい者の就職率

障がい者の一般企業への就職率は、平成29年度現在で、4.5%と昨年に比べ、2万1421人増加しています。数字だけ見ると多いように感じられますが、割合で考えると、一つの企業に1人~2人程度しか雇用されていないということになります。一方、障がい者就労支援事業の利用者も年々増加していますが、精神障がい者や軽度の身体障がい者、知的障がい者といった ある程度身体的に自立した人が大半で、重度の身体障がい者が働くのは難しいのです。
その背景には、いくつかの問題点があります。その問題を把握することで、解決の糸口が見えてきます。

参考サイト:「厚生労働省 平成29年度 障害者雇用の集計結果」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000187661.html

 

障がい者の前に立ちはだかる壁

障がい者が働こうとした際に立ちはだかる壁は非常に大きいです。具体的には下記のような問題があります。

①ヘルパーを職場に同行させることができない

現在の福祉制度は、「利益を得るためのヘルパーの利用は認められない。」という規定があります。つまり、働いている時は、ヘルパーを利用できないという事です。この規定は、A型就労にも適用されている場合がほとんどです。
しかし、トイレ介助のためにヘルパーを必要としている人は多くいます。このような規定がある以上、ヘルパーを利用するためには、利用料は自費で払うしかありません。
自費になると月5万円以上かかってしまうので、初任給が8万円~12万円程度ですので、給料の半分以上をもっていかれてしまう計算になります。これでは働く意味がありません。

②働きやすい環境が整っていない

一般企業はさることながら、障がい者が働くためのA型事業所やB型事業所でさえも全ての障がい者に対応しきれていないのが現状です。というのも多くの事業所が、知的障がい者や精神障がい者を対象としているので、車いす用のトイレや就労場所が2階であるにも関わらずエレベータ―が設置されていない事業所がほとんどです。

③給料(工賃)が安い

冒頭でも触れましたが、障がい者の給料は非常に安いです。
一般企業でも、1年目のうちは、月給が、8万円~12万円程度、A型就労は、6万円程度、B型就労になると出来高制になるので、3000円~8000円程度しかもらえません。
こんなにも給料が安いのは、恐らく、「障がい者年金を貰っているから。」だとか「働くことに意味がある。」という考えがあると思います。確かに給料が安くても働いて社会とつながっていることは非常に大切なことでしょう。しかし、それだけでなく「頑張りをきちんと評価してもらっている。」と感じることで、より充実した生活を送ることができます。

 

これからの障がい者就労の在り方

これからは、全ての障がい者が働きやすいような社会を作るべきだと考えています。そのために、ぜひ、実践して頂きたい事をご紹介します。

①職場のバリアフリー化

車いすを使っている人でも快適に働けるように職場のバリアフリー化をしてみましょう。実践する時には、車いすユーザーの意見を積極的に取り入れることで、本当の意味でのバリアフリーを実現させることができます。

②能力や勤続年数に応じて給料を上げる

健常者と同じように、能力や勤続年数に応じて給料を上げていくことで、仕事に対するモチベーションも上がってそれまで以上に一生懸命働いてくれるようになります。さらに、働く側も満足感を得られるので、お互いにプラスになります。

この2つのことを実践するだけで、障がい者のワークライフは、充実したものになります。
障がい者は純粋でひたむきな方がほとんどです。だからこそ、一つでも多くの事業所や企業に、現状を知って頂き、先ほどの事を実践して頂ければより多くの障がい者が働きやすい社会が実現できると思います。

 

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