潜在的介護職員等活用推進事業の概要
介護に関する資格を有しながら、介護分野で就業していない「潜在的有資格者」等の掘り起し事業が各自治体で実施されています。北海道では2017年度から「潜在的介護職員等活用推進事業」を創設。人材派遣会社を介して介護事業所等と就業希望のマッチングを重視することで人材確保が行われており、深刻化する介護者不足の解消手段の一つとなると期待されています。
潜在的介護職員等活用推進事業とは
有資格者でありながら介護分野に従事していない「潜在介護福祉士」は約45万人いると言われています。北海道が2017年度に創設した「潜在的介護職員等活用推進事業」は、人材派遣会社に事業を委託して、介護分野で就業を希望する潜在的有資格者などを有期雇用契約労働者として雇用。介護事業所などへ紹介予定派遣することにより、当該雇用契約者が実際の就業を通じて就職先としての職場を見極める機会を提供しています。派遣期間終了後における派遣先での直接雇用を実施しています。
登録から雇用までの流れ
- 介護保険施設等は派遣会社に派遣申請
- 就業希望者等は派遣会社へ登録
- 派遣会社は就業希望者等と雇用契約、介護保険施設等と紹介派遣予定契約(約3か月)
- 就業希望者等を介護保険施設等へ派遣し、実際の就業によるマッチング
- 派遣期間終了後の継続雇用
雇用対象者及び費用負担など
雇用対象者は介護分野で就業を希望する者で、介護に関する資格を有していながら就業していない「潜在的有資格者」と定めています。未就業者であることの確認として次の提出が求められます。
- 雇用保険受給資格証
- 廃業届
- 履歴書
- 職務経歴書
- その他失業者であることの証明
派遣費用については、派遣職員の雇用及び委託事業者(人材派遣会社)が行い、派遣職員の人件費は北海道が負担するため、就業希望者は自己負担なく紹介予定派遣(3か月)を受けることができます。
雇用条件
区分 | 条件 | ||
雇用期間
|
連続3か月以内
雇用期間が3か月以内であっても雇用終了後の再雇用は認めない |
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勤務時間/日 | 派遣先の日勤の勤務時間に合わせて決定(原則8時間) | ||
勤務日数/週 | 派遣先の勤務日数に合わせて決定 | ||
給与
(月払い) |
介護に関する資格を有する者
|
介護福祉士・介護員養成研修修了者・介護福祉士実務者研修修了者・介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者・1年以上の介護職員経験を有する無資格者・その他知事が適当と認める者 | 9,029円
(1日当たりの支給額) |
上記以外の者 | 上記以外の者
|
7,360円
(1日当たりの支給額) |
|
通勤手当 | あり | ||
社会保険等 | 雇用保険 労災保険 健康保険(40歳以上は介護保険)
厚生年金保険 児童手当拠出金 |
※雇用条件は2019年度現在
雇用対象者の募集等
必ず公共職業安定書への求人申し込みにより行うものとし、併せて人材派遣会社が直接募集を行うことも可能としています。また人材派遣会社は、選考の結果、雇用契約者として採用を決定した者を紹介予定派遣者として登録します。
応募状況
北海道の担当者によると「事業初年度から反響があり、予定を上回る登録があった」といいます。介護の仕事にやりがいを感じながらも、職場環境や人間関係などを改善することで復帰を希望する人は少なくなくありません。北海道は「委託事業者が行っている介護事業所等と就業希望者のマッチングが雇用を促進している」と評価しています。
実施年度 | 登録予定数 | 登録実数 |
2018年 | 85人 | 94人 |
2018年 | 70人 | 77人 |
2017年 | 70人 | 77人 |
約9割が介護事業所に就労
介護人材確保に対する取り組みは各自治体や団体で行われていますが、潜在的介護職員等活用推進事業に取り組んでいるのは北海道だけです(相似事業は他にもあります)。就業希望者が介護事業所などに就業する割合は約9割と高く、官民一体となった取り組みに一定の効果が見られています。実践編では受託業者に介護事業所等と就業希望者のマッチングのポイントや就労までのプロセスなどを伺っています。
取材協力:北海道保健福祉部福祉局地域福祉課福祉人材グループ
株式会社シグマスタッフ北海道支社
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