居抜き物件の落とし穴|飲食店開業チェックポイント
ここからは、飲食店開業にあたり決めるべき事項について、許認可以外の面からも解説していきます。
飲食店の開業にあたって行う事項としてはおおむね以下の通りです。
・店舗の確保
・内装の決定、工事
・材料や商品の仕入れ
・従業員の募集
・広告宣伝
・補助金の検討、申請
どれも一見しただけで大変だと分かる項目ですが、全て経営に大きくかかわってくる超重要事項ですので、しっかりと検討していきましょう。
・店舗の確保
これはやりたいお店の場所、形態、規模、資金などから決まってくると思います。最も困難なことは、理想通りの規模、場所の店舗を見つけることです。客席の規模は一坪当たりだいたい2席程度で検討をつけることが多いですね。勿論ゆったりした作りにするか、タイト目な客席にするかで変わってきます。物件探しに関しては、駅前などでは良い物件に丁度空きがでるということは稀ですし、空きがでても既に業者内で知り合いのオーナーさんに紹介する約束が出来ていたりします。その為に、具体的にやりたいお店が決まっていてもそれに合った物件を探しているうちに半年経ってしまう・・なんてことはざらなのです。出来る限り早い段階から近隣の不動産仲介業者を回り、話を通しておいた方が良いでしょう。近隣の良い場所を確保しているオーナーさんに話を聞いてみる、なんていうのも功を奏することもあります。お勧めの仲介業者や不動産のオーナーさんを紹介してくれることもあり得ます。
飲食店を始めるにあたって、立地は非常に大事です。客足への影響もありますが、場所によっては飲食店の許可が下りない、下りにくい、といった場合もあります。不動産業者へ初めから店舗として利用することを伝えて仲介をお願いしている場合はクリアしていることがほとんどですが、自宅を改装して開業する、古い雑居ビルで開業する、といった場合は要注意です。「様々な準備をしたのにそもそも許可が下りない場所だった、、。」なんて事があると取り返しがつきません。
・内装の決定、工事
一般的には、価格の面でのメリットが大きいので、内装業者にお願いする場合が多いと思います。それに対して、デザイン重視の個性的なお店だったり素材にこだわった高級感のあるお店にしたい、等という場合には特別に専門の建築士にお願いする場合があるようです。この内装のデザインや工事は開業費用の中でも大きくお金がかかるところですので、出来る限り費用を抑えたい方は内装業者に頼まれるのが良いでしょう。一概に、内装業者がデザインのクオリティで建築士に劣るという訳ではありません。ご自身の理想を形にしてくれる業者さんを探しましょう。又、居抜き物件の場合、内装をそのまま使うことは少ないですが、一から工事をしなくて済みますので、費用も安く、準備期間も短く済むことが多いのがメリットですね。
(居抜き物件のデメリット)
居抜き物件はメリットが大きいというイメージがあると思います。それは決して間違いではないのですが、当然居抜き物件ならではのデメリットも存在します。 まずは、良くも悪くも前の店舗のイメージを引きずってしまう、ということ。基本的には、レイアウトが大きく変えられませんので、テーブルの配置や、カウンターの大きさが同じですと、「前の店舗と似てるな・・・」というイメージをお客さんが持ってしまう可能性がありますね。
さらには残っている機材や内装のトラブルによる損害が発生する可能性があるということです。「残っている冷蔵庫が故障してしまい高級食材に予期せぬ損害が・・」、「内装工事をしていたら痛んでいた柱が見つかった・・・」「機材の機能が低下しおり、結局新しいものを探す羽目に・・・」なんてことは当然起こり得ます。残っている機材を使う場合でも、年式や傷み具合、いつから使っているものかは入念に確認をする様にしましょう。
・材料や商品の仕入れ
店舗の形態が決まれば提供するメニューが決まります。メニューが決まれば必要な食材や商品が決まる、という流れですね。ではそれらをどのように仕入れるのか、という問題が出てきます。一般的には、近隣の卸売り業者をピックアップし、定期的に発注する、ということが多いです。特別にこだわりの食材を使用するオーナーさんでは、直接農家や漁師さんと契約し、卸売業者を使わずに産地直送のネットワークを築き上げる方もいらっしゃいます。業者を仲介させない分、単価が上がり、仕入れ先の農家さんなども喜んで応じてくれる場合が多いようです。
一から卸業者を選ぶ際には、インターネットでの卸業者の比較サイトや飲食店の経営支援のコンサルタント会社などもあります。値段だけでなく、配送の頻度や速さ、ご自身のお店のジャンルに注意して選び、主力の商品にはブランドの食材を使う等、その店舗の経営戦略によって使い分けるのが良いでしょう。
・従業員の募集
各媒体を利用しての求人は無料ではありません。それに加えて、飲食業界は慢性的な人材不足と言われています。漫然と何か月も求人を出しているとそれだけでかなりの出費になる上に、一人も応募がこない・・・なんてことになりますし、そもそも希望の合わない応募者との面接に時間をかけても仕方ありません。どういう人材が欲しいのか(主婦層、学生、正社員、経験者等)、その人材を募集するのに最適な媒体は何なのか(インターネットの求人広告、地域の情報誌、ハローワーク、店舗の張り紙等)、どんな人物が来たら採用し、何をやってもらうのか、明確にし、ピンポイントで募集をかけることが効率的です。
・広告宣伝
小規模の飲食店の場合、大々的な広告宣伝を行うことは少ないです。それは飲食店は利用するお客様の範囲が(いわゆる商圏)が狭いことが理由です。しかし、余程の好立地でなければ全く宣伝をしないとお客様に店舗の存在を気づいてもらえません。オープン間もなくは効果的に広告を打つことで「新しく出来たみたいだから、一回行ってみよう。」と来店のきっかけを作ることに大いに役立ちます。一般的には、インターネット上の飲食店検索サイト(グルメサイト)、自社HPの作成、ブログ、フェイスブック等SNSでの宣伝、地域のフリーペーパー、チラシの配布、ダイレクトメール等の方法が考えられます。広告宣伝にかける費用の目安は月の売上高の3%程度と言われています。ある程度の予算を決め、その範囲で何が出来るかを検討し、効果の高いと思われるものから行って行きましょう。
・補助金の検討、申請
あまり広く知られている訳ではありませんが、飲食店の開業についても利用できる国や自治体の補助金があります。金額についても月数万円というものから、創業の際に数百万円を補助してもらえるものまであります。利益額に応じて返済の必要があったりとその内容、申請先、申請できる時期も様々ですので、開業の前に要件やその内容をチェックしておくと良いでしょう。また、用途が限られることも多いですが、オープン後の改装に利用できる場合もあります。種類が多く、要件も複雑な為、ご自身で調べることはなかなか難しいので、専門家に相談する方が良いかも知れません。