中小小売業が異業種と連携して地域顧客を丸ごと囲い込みに成功
共通ポイントカードは、企業や店舗が独自に発行する従来のポイントカードとは異なり、多くの店舗やインターネット通販でカードが使え、ポイントが貯まるのが特長です。
企業や店舗は共通ポイントに加盟することにより、カードにひもづくユーザーの購入履歴や、属性や嗜好性などの情報を得られ、ダイレクトメールやEメールによる商品情報提供、効果の高い広告の打ち出しに活用できるメリットがあります。
しかし一般的に知られている大手共通ポイントについては、運営企業のみに会員情報が紐付くことから、会員に対して直接のアクションができないこともあり、中小企業には縁遠い話とお考えの経営者も多いでしょう。
そんな社長に、今回は地域に密着した中小企業が、ポイントシステムの企画・開発・販売を手がける株式会社クラブネッツ(本社:東京都渋谷区)のサポートのもとポイント事業を立ち上げ、異業種と連携した『地域共通ポイント』によって地域住民の1/4を丸ごと囲い込んだ小売業の成功事例を紹介します。
複数の小売業態を経営するR社
とある地方に本社のあるR社はガソリンスタンドと飲食等の店舗を数十店舗を経営する、地域の老舗企業です。
ガソリンスタンドへのポイント導入について検討会議をしていた時、「どうせならグループ内の他のお店でも使えるようにしたら?」とA社長から要望が出ました。ガソリンスタンドの顧客を飲食店へ、飲食店の顧客をガソリンスタンドへ、相互送客がA社長の実現したいことです。
それなら共通ポイントカードというものがあると、後継者であるA部長から提案がありました。会議後、大手ポイントカードを中心に提案を受けましたが、顧客データが紐付かないことで会員に対して様々な展開ができず、費用面含めて使い勝手が悪かった為、他にないかと出会ったのがクラブネッツの地域共通ポイントでした。
地域共通ポイントカードの特長
同社の地域共通ポイント最大の特長は、地域の企業が『地域運営本部』となり(この場合はR社です)、自社および自社グループの顧客に会員カードを発行、ポイントを付与するだけでなく、周辺のスーパーマーケットや美容室、カラオケボックスやゴルフ練習場、ガス会社や不動産・リフォーム業など、他業種店舗と連携することで、地域全体にポイントのネットワークを拡大する点です。
会員にとっては1枚のカードを持つことにより、地域のあらゆる店で使える便利なものです。さらに、貯めたポイントはTポイントや楽天スーパーポイント、WAONポイントなど様々な大手ポイントと交換できます。
地域加盟店の開拓
提携する他業種店舗を開拓すれば、毎月、システム基本料とポイントによるストック収益が地域運営本部に入る仕組みです。
ストック収益でポイントカード発行にかかる固定費をカバーすることはもちろん、一定の利益を生み出す、まさに“ポイント事業”です。
R社がポイント事業への参入を検討するにあたり、最大のネックとなったのは、地域加盟店の開拓でした。「営業経験の無い自分達では無理」と尻込みする社員もいます。
経験の無いメンバーが、加盟店を開拓するにはどうすればよいか、クラブネッツの担当コンサルタントとの度重なるミーティングのうえ、R社は2つの戦略、「頂上作戦」と「来店客アンケート」を採択しました。
頂上作戦で地域一番店から攻略
頂上作戦では、地域の誰もが知っている有名店、一番店、業界内で影響力のある店から順に訪問を進めました。
またスーパーマーケットや新聞販売店など、提携により会員の広がりが期待できる業種も優先的に営業しました。
営業はA社長や後継者が参加している地元のロータリーやJCからの伝手を辿ったトップセールスです。
地域一番店が加盟すると、「あの店が加盟しているなら、ぜひうちも!」と波及効果が期待出来るだけでなく、一番店のオーナーが「おたくも一緒にどうですか?」と他店を紹介してくれることもありました。
何よりR社トップが率先して営業活動することで、最初尻込みしていた社員も、「自分達でも出来るのではないか」との前向きなムードが広がっていった点も大きかったです。
アンケートデータを元にした提案活動
またR社は来店客にアンケート調査を行いました。
「スーパーはどこで買い物しますか?」「クリーニングはどこに出しますか?」等、普段の買い物状況を調査します。
「自社の来店客の30%(〇〇人)はBクリーニングを利用している」等のアンケートデータを元に、「共通ポイントに加盟いただくと、より効率的に販売促進できますよ」とBクリーニングに提案に行くのです。
共通ポイント最大の魅力は、地域顧客の丸ごと囲い込みによる相互送客と共同販促。自社との提携メリットを充分に感じてもらえる店舗から順番に営業アプローチしました。
採用した営業社員による展開
とはいうものの、本業を抱えながらの加盟店開拓では限界があります。
R社では事業開始当初から社員を1名採用し、地域一番店の周辺にある個店を対象に営業活動を実施しました。初めは自社店舗の周辺、その後は繋がりから開拓した地域一番店、といった形で、1店舗につき周辺に加盟店を5~10店舗開拓しています。
「あの地域一番店の会員が今1,000名おりまして、その会員に周辺に言って頂く企画をしています」という営業の為、かなりの拡大傾向が見えやすくなります。
地域加盟店が50店を超えた時点で、追加営業社員を1名採用しています。
その後も50店開拓すれば1名採用のペースを守り、R社のポイントカード事業は地域で加盟200店超え、カード会員数は地域人口の25%をカバーする、第3の事業に成長しました。
ポイントカード事業から広告事業へ
地域運営本部は、自社だけでなく他業種店舗のカード利用状況や会員属性も管理・分析できるため、これを次の事業展開に活かすことができます。
ウェブサイトやメールを使った多彩な企画で加盟店を紹介し、クーポンの掲載やプレゼント企画により加盟店へ送客します。
自社での成功事例を資料化し、具体的なデータをもとに加盟店舗へ営業担当者が提案。提携店舗全ての会員の中から、加盟店の戦略に沿ってセグメントされた特定ユーザーに対し、質の高い広告を企画・配信しています。
自社のポイントカード検討からスタートしたR社ですが、地域共通ポイント事業、さらには地域企業へのマーケティング支援事業へと変貌しています。
ポイントカードの導入・販売にとどまらず、営業ノウハウや営業戦略の立案、営業スタッフ研修、営業同行まで、地域共通ポイント事業の立ち上げを目指し、クラブネッツでは地域の小売業を支援する体制を構築しています。
CNポイント事業に関する問い合わせは、下の資料をダウンロードして確認いただくと共に、同社ポイント事業本部(電話:06-6392-8551)までご連絡下さい。