スーパーマーケットの節水対策6つの手順
スーパーマーケットの経営者や商品センターのセンター長の関心事の一つに節水、水道料金の削減があると思います。スーパーの水道光熱費といえば、ついつい空調設備や冷蔵冷凍機の電気料金の方に意識が行きがちですが、上下水道の料金も見逃せないテーマです。
なお下水道料金の削減については、スーパーマーケットが投資ゼロで下水道の経費削減で取り組み事例を紹介していますので、あわせてお読みください。
水道料金は特殊な料金計算を行っており、使えば使うほど1㎥当たりの単価が高くなる仕組みです。普通のビジネスですと、大量に仕入れるほど単価が安くなるものですが、水は限られた資源であるとの考え方より、大量に使う人により重い負担を求める仕組みになっています。単純にとらえれば、水道料金も従量計算ですから、[使用量]×[単価]の掛け算です。通常の料金を仮に、1.0×1.0=1.0だとした時、使用量が20%増えて1.2、それに伴い単価が1.2倍となった場合、料金は1.2×1.2=1.44と一気に高騰します。
このように水道料金の計算方法は、複雑で変わった料金体系になっていますが、これを店長をはじめ現場が知っているものか、注意が必要です。
地方都市を中心に約20店舗の食品スーパーマーケットを展開しているY社では、水道の使用量の管理を徹底し、コスト意識を高める工夫を実施されています。
同社の節水、水道料金のコスト削減の手順は以下のように進められました。
1. 店舗の蛇口の水圧を調べる。水圧計は比較的安価で手に入ります。
2. 水圧調整できる設備がついているものは水圧を一定レベルに調整
3. 水圧調整できない蛇口は水圧調整弁を購入。こちらも安価で購入できます。
4. 削減結果の検証を過去2年間の上下水道料の平均値と比較
5. 店舗間のバラつきを調整するため、最も使用量が多くなる融水解凍作業や掃除の際のマニュアルを整備
6. 毎月1回の店長会議において前月の水道料金をお客様の人数と社員の人数で割った「お客様1人あたりの水道使用量」、「社員1人あたりの水道使用量」を店舗ごとにグラフ化
こうすることで、各店舗のバラつきを一目でチェックすることができ、店長も自身の店舗の水道料金の節約レベルを認識することができます。
Y社の経営幹部のお話しでは、「このような単純で、しかも継続的な取り組み方を見れば、店長のリーダーシップ能力や店舗スタッフやパート社員の人間関係の良し悪し、コミュニケーションレベルも見えてくる」とのことでした。
経費削減レベルの低い店舗では、退職者が続出するなど、チームワークがとれていないケースも多いそうです。チームワークは店舗の活気にもつながり、売上の良し悪しも左右するため、とても重要です。
「凡事徹底」と言いますが、簡単なことから徹底すれば、スーパーバイザーや経営者は店舗のマネジメントに活かす気づきが得られるという事例ではないでしょうか。