【介護労働安定センター】47都道府県で介護労働者を支える
介護労働実態調査等の実施機関として知られる「公益財団法人介護労働安定センター」は、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発・向上、その他の福祉の向上を図るための総合的支援機関として介護分野全般に対する支援事業を実施しています。その事業の詳細についてお伝えします。
公益財団法人介護労働安定センターとは
公益財団法人介護労働安定センターは、介護労働者の雇用の安定と福祉の増進を目的に、平成4年4月に設立しました。同年7月には労働大臣に「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に基づく法人として指定。全国47都道府県に支部を持ち、国からの交付金のほか、賛助会員の会費によって運営されています。
1.雇用管理の改善
雇用管理に関する相談援助
雇用管理の改善に取り組む介護事業所を対象に、同法人職員訪問による無料の相談援助を実施。職業能力開発の担当と連携するなど相談内容に応じた問題解決に努めます。また、専門的な相談については、同センターが委託する専門家が対応しています。
相談内容 |
相談事例 |
対応者 |
雇用管理改善に関する専門的な相談 | 人事制度、賃金体系、就業規則、教育訓練、福利厚生、助成金など | 社会保険労務士
中小企業診断士 |
従業員の心身両面にわたる健康確保に関する専門的な相談 | 腰痛予防、感染症予防、メンタルヘルス対策など | 医師、看護師、臨床心理士など |
働きやすい職場環境づくり、介護人材確保などを促進するために、雇用管理の改善のための図書やマニュアルを制作しています。また、助成金に関する情報提供と制度の説明を専門家と連携して行っています。
介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業
介護分野における人材確保のため、地域ネットワーク・コミュニティを構築し、雇用管理改善の支援を行い、介護業界全体で「魅力ある職場づくり」への意識の底上げを図る事業を実施しています。
介護労働者雇用管理責任者講習
介護事業所は、介護労働者の雇用改善を目的とした「介護労働者雇用管理責任者」を選任する必要があります。その役割は次の通りです。
- 介護労働者の雇用管理の改善等に関する事項について、事業主の指示に基づき必要な措置を検討して実施をすること。
- 介護労働者の労働条件等の雇用管理に関し、介護労働者からの相談に応じること。
同センターでは、介護事業所において雇用管理全般に関する知識を持った者が、雇用管理責任者として雇用管理改善を進めるための講習を実施しています。
事業者支援セミナー
介護事業所の事業主及び管理者を対象に、組織管理、財務管理及びサービス管理など雇用管理及び経営の改善に必要な情報の提供、知識の修得または意識啓発など、事業所のニーズに即したテーマによる雇用環境改善のためのセミナーを実施しています。
≪テーマ例≫
- 事業所におけるリスクマネジメント
- 介護保険制度下の事業経営
- 管理者のための人材マネジメント
- キャリアパスと人材育成
介護労働実態調査
介護分野における雇用管理の状況を把握するため、離職率、早期退職防止や定着促進のための方策及び賃金・労働時間などに関する実態調査を継続的に実施し、介護労働者などの雇用管理改善に資する資料として広く活用。地域別の動向も公表しています。
介護労働シンポジウムの開催
介護の日(11月11日)にちなんだ取り組みとして、介護労働シンポジウムを開催。介護業務の魅力を発信しています。
2 職業能力の開発
介護労働者のキャリア形成に関する相談援助
従業員のキャリア形成に取り組む介護事業所を対象に、同センターが委嘱する介護人材育成コンサルタントが、訪問または来所による無料の相談援助を実施し、人材育成を支援します。
≪相談例≫
従業員に対するキャリア形成の啓発
- 事業所の研修計画やキャリアパスの作成
介護関係講習
講習・研修名 |
実施内容 |
介護労働講習 | ハローワークと連携して、介護の仕事に就こうとする人に対して、必要な知識及び技能を修得させるための訓練を全国で実施。 |
入門的研修・生活援助従業者研修 | 介護の仕事に就くための入門研修や、生活援助を中心に担うヘルパーを育成する生活援助従業者研修を実施。 |
資格取得などを支援する講習 | 介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修のほか、介護福祉士試験などの準備講座を実施。 |
短期専門講習 | 高度化・多様化する介護サービスに対応するため、「認知症高齢者への対応」「記録の書き方・報告」「医学の基礎知識」「ターミナルケア」などの講習を実施 |
各種指定研修 | 障害者総合支援法に関連する研修、喀痰吸引等研修及び医療的ケア教員講習会を実施 |
ケア・サポート講習 | 事業所・企業の要望を聞き、従業員を対象に接遇・マナー、医学の知識、介護技術等の研修を実施 |
3 介護関係機関との連携
介護労働懇談会の実施
介護人材の確保及び定着、育成に資するために、地域の介護関係の行政機関、民間団体などが参集し、介護労働の現状と展望について情報共有し、地域の実情に応じた役割、分担の在り方について検討します。同センターは、介護労働懇談会の事務局を務め、会合の開催・運営、構成員間の連絡調整を担っています。
介護就職デイの取り組み
労働局、ハローワークと連携し、介護就職デイに介護労働相談窓口を設置するなど、介護労働者等の雇用管理改善等の啓発活動を行っています。
4 情報提供
介護労働の理解のために次の事業を行っています
- 介護の魅力を発信する動画を作成し、ハローワークで放映
- 介護についての能力向上や資格取得に役立つ図書等の発行及び「月刊ケアワーク」の発行
- 介護情報サイトの運営
5 福利厚生の充実
介護労働者の福祉の増進のために、次の補償制度の運営が行われています。
制度・事業名 |
内容 |
傷害補償制度 | 介護労働者が業務中、勤務途上に急激かつ偶然の事故によって怪我などを受けた場合に補償する制度 |
感染症見舞金制度 | 介護労働者が業務中に感染症に感染し、医師の治療を受けた場合に、介護事業所に対し見舞金を保証する制度 |
賠償責任保証制度 | 介護労働者が、業務中に他人の身体に傷つけたり、物を壊したりした場合に、その賠償金等を支給する制度 |
個人情報漏えい保険団体制度 | 個人情報漏えい又は、その恐れが発生したことに起因する損害賠償金や、各種対応費用に対して保険金を支払う制度 |
賃金不払事故補償制度 | 求職者が行方不明等のために生じた賃金不払い自己の場合、介護職員に対する賃金の一部を補填する制度 |
健康診断受診促進事業 | 介護労働者が所要の健康診断を受診した場合に、受診料の一部を給付 |
セミナーなどの受講は非会員も可能
介護労働安定センターの各支部では、地域に密着したさまざまな取り組みが行われています。各セミナーの受講や試験対策の参加は非賛助会員でも可能です。情報は随時公式ホームページに公開されていますので、活用してみてはいかがでしょうか。
介護労働安定センター公式ホームページ