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“シャワー効果を狙う”ショートステイ・デイサービスの複合業態の経営戦略

介護業界には、比較的、集客が容易な業態とそうでない業態が存在します。
待機者が40万人を超えているとされる特別養護老人ホームなどは、集客活動をするまでもなく、入居者が押し寄せています。

また、東京など地価が高く、介護福祉施設を建設するよりも、高層マンションなど一般の住居を建設し販売する方が大きな利益を獲得ができるエリアでは、特に入居系の施設は待機者が多く存在します。用途地域の規制が低く、様々な事業を運営できる立地や容積率が高く高層建築物が建設できる立地では、よりその傾向が強くなります。
当たり前のことですが、新規参入が難しい業態やエリアほど、介護事業者の経営は安定する傾向にあり、黒字の事業者も多くなっています。

 

他方でデイサービスなど、参入が容易で民間企業が多数しのぎを削っている業態は、営業活動の難易度はあがります。特に行政が介護事業者の参入に対して、前向きなエリアほど競争はさらに激しくなります。

競争が激しく、新規参入も多いエリアのデイサービスはどうすればよいのでしょうか。
答えはいくつかあると思いますが、経営戦略的に参考になる事例がありましたので、ご紹介します。

あまり数はありませんが、近年はデイサービスとショートステイの複合業態を展開する企業が登場してきました。代表的な企業は“ユニマットそよ風”などです。
当社のグループ企業でもこの事業モデルを採用している施設がありますので、利点がよく分かります。

デイサービス単体で事業を進めるよりも、ショートステイが存在することで、営業面ではかなりプラスの効果があります。

 

まず一つ目にショートステイは特養の待機者を取り込むことができるという利点です。実際、ショートといいながら、長期間、継続的に利用される方も多く、ショートステイは特養の待機者の受け皿としてケアマネージャーに認知されています。デイサービス単体で営業活動していると、「デイはたくさんあるので、間に合ってます」というケアマネのリアクションに遭遇する機会が多くありますが、ショートステイを併設していることを説明すると、「利用者を紹介したいので、また見学にいきます」といった返答を下さるケアマネージャーの割合が多くなります。

 

二つ目の利点はショートステイを運営していると非常に多くのご利用者のリストが集まります。短期でホテルタイプの利用形態であるがゆえの特性です。また、ショートステイの利用者には、重度で要介護認定が4や5の方も多く、介護事業者にとっては、客単価の高いお客様が多く集まるという特徴があります。

当然、デイサービスでそのような重度の方の受入が可能な体制を整備していれば、ショートステイの利用者がデイサービスを使っていただく機会も増え、デイサービス・ショートステイともに事業が安定するという相乗効果があります。

 

また、このショートステイのご利用者には、先述のように特養待機者も多く、サービス付高齢者住宅や住宅型有料など入居系サービスのニーズを持つ方が多く含まれます。
同一エリアでこのような入居系の介護事業を展開する場合は、ショートステイの存在が非常に有利に働く場合があります。
デイサービスの集客で困っておられる事業者様には参考になる事業モデルかと思います。お泊りデイなども、この事業モデルと似通った効果を狙ったケースが多く、他のデイサービスと比較して大きな差別化ポイントを戦略レベルで実現できるという利点があります。

 

 

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