ピーターの法則
【ピーターの法則】
「すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。ピーターの必然―やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行なわれている」
いろんな会社のいろんな役職者を見るにつけ、若い頃は現場で活躍し、弁舌も鮮やかだったが、管理職になるとどうも・・・
という人は確かに多い気がします。
特に、専門性が高い創造的な業務では、現場の第一線で有能に働いていた人が、部下をマネジメントする立場になっても、相変わらず自分が現場で主役になって働き続け、部下たちはその横で指をくわえてみている、というような情景がよくみられます。
この時点で、その人は組織の成長にとっては有害な存在となってしまっていますが、さらに輪をかけて悪影響を与える背景には、該当者自身の「保身」心理があります。
かつては優秀とみなされていた自分が、管理職者として力が発揮できていないのではと、自分自身でうすうす感じ始める。
そうなると、何とか自らを正当化するために他者批判に走ったり、部下の足を引っ張ったりという言動に出始めます。
(これが、無意識か意識的かは、人によります)
その結果、「ピーターの法則」に端を発し、職場内に及ぼす悪影響が甚大なものとなってしまうのです。
これと対立する概念として、「役職が人を作る」という話も結構聞きます。
正直、この説にも納得させられるケースはあります。
しかし、仮にピーターの法則に準じるならば、「役職が人を作る」ケースの方が少数派ということになるでしょう。
(たまたま、その人が上位ポジションに足るポテンシャルを有していたということ。)
ここからの教訓としては、
経営者による「昇格判断」ということが非常に難しいものであること。
昇格人事だけは、後から取り返しようがないため、より慎重な判断が求められます。
(以下、中小企業を想定した対策案を考えます)
中小企業が抱える問題としては、そもそも
「昇格の候補者(選択肢)が少なすぎること」
そのため、プレイヤーとして実績を挙げてきた人をマネージャーに昇格させるしかなく、そこでのミスマッチケースを嫌というほど見てきました。
「中小企業の採用力、人件費負担を考えると、どうしようも無い問題だ」
という嘆きも聞こえてきますが、その中で解決策を考えるなら経営者の人脈の中で、いかに広く候補者をストックしておくか、が大事です。
社内の人材だけを対象にしていれば、選択肢は自ずと限られてきますので、例えば、取引先、親戚、外部ネットワーク、外注先、外部コンサルタントなど、あらゆるつてで、可能性を探ることです。
もちろん、その下地作りとして、既存社員との接点作りなどの配慮は必要ですし、いきなり登用ではなく一定のお試し期間を設けることも重要でしょう。
慎重さは不可欠ですが、中小企業オーナーだからこそできる、社内外のネットワークを活かした柔軟な人材登用を考えておきたいものです。