児童発達支援事業の開設に必要な設備基準
児童発達支援事業を開設するには、都道府県に事業者指定申請を行い、許可を受ける必要があります。ここでは、設備基準について説明します。
設備基準
児童発達支援事業(児童発達支援センター外で発達支援事業を行う場合)の基準は、次のように定められています。
指定児童発達支援事業所(児童発達支援センターであるものを除く)は、指導訓練室、支援の提供に必要な設備及び備品を備えること。また指導訓練室は、訓練に必要な機械器具を備えること。ただし障害児の支援に支障がない場合は、この限りでない。
厚生労働省:児童福祉法に基づく指定通所支援事業等の人員、設備及び運営に関する基準より
≪詳細≫
設備 | 内容 |
---|---|
機能訓練室 | 定員:おおむね10人 障害児1人当たりの床面積:2.47㎡以上。 |
遊戯室 | 障害児1人当たりの床面積1.65㎡以上。 |
その他 | 医務室、相談室、調理室、便所、 屋外遊戯場、その他、支援の提供に必要な設備及び備品等を備えること。 ただし、主たる対象とする障害を知的障害とする場合には静養室を、主たる対象とする障害を難聴とする場合は聴力検査室を設けること。 |
上記の通り、定員10名の場合、トータル20~30坪の広さが必要です。
またこれ以外に、1フロアの中にあること、専有のトイレと洗面がそれぞれ独立していること、新耐震基準をクリアしていること等が求められます。(指定権者により異なります)
児童発達支援事業で行われる機能訓練
それぞれが抱える障害に応じて機能訓練が行われます。
訓練というと重々しい感じがしますが、「今まで以上に日常生活が円滑に行われるように療育や援助を行う」と考えてもらえば、わかりやすいでしょう。
児童発達支援事業開設に伴い、どのような物品が必要になるかは、機能訓練の内容によって大きく異なります。
[ソーシャルスキルトレーニング]
人が社会で生きていくための、コミュニケーション能力や、社会通念、ルールなどを身に着けていくための療育です。状況に応じた会話の方法、その場の雰囲気の察し方や振る舞い方や、言語だけではなく、相手の表情や態度から感情を読み取る練習を行います。
[PECS(ペクス)]
絵カードをコミュニケーションツールとして、意思の伝達を行ったり、カードを並べることで文章を作ります。言葉を発することが難しかったり、他者とのコミュケーションが苦手な人などが対象となります。
[TEACCH(ティーチ)]
世界各国で行われ、日本でも自閉症教育として行われています。
他の子供と比較することなく、ひとりの個人として認め理解することで、ギャップを埋めていきます。家族と医師などの専門家がパートナーシップを作って療養にあたるのが特徴です。
[マカトン法]
聴覚障害と知的障害を持つ人を対象としたコミュニケーション方法です。「言葉と手の動きで行うサイン」や、「言葉と単純な絵カード」と用いて行う方法があります。
[その他]
その他にも、言語聴覚士(ST)と呼ばれる専門職による「言語聴覚療法」、作業療法士により運動や作業などを行うことで、身体機能の回復や日常動作の改善を目指す「作業療法」、理学療法士により、運動療法、物理療法、動作訓練の3つの療法が行われ、おもに運動機能の改善を目指す「理学療法」などが行われています。
児童発達支援事業で行われる遊戯
児童発達支援事業で行う「遊び」は「楽しい」だけではなく、何らかの効果を期待した意図的なプログラムが組まれています。音楽やお絵かきなどは、子供の感性を刺激しますし、砂遊びや水遊びなどは、身体への刺激を受けます。
これらは情緒を安定させたり、身体機能を向上させる目的があります。また、他の子供と遊ぶことも、よい刺激になります。遊びを通して協調性など集団生活に必要な能力を身に着け、社会性を養うことが期待されます。
まとめ
以上、機能訓練と遊戯について説明しました。
この2つは、児童発達支援事業の評価を左右するポイントですが、残念ながら、「ただテレビを見せているだけ」「個々に合った支援をしていない」など、サービスの質を指摘されている事業所もあるようです。
児童発達支援事業は、社会に貢献できる事業であることを忘れずに、指定基準を順守した上で、しっかりとしたプログラムを組み、それに見合った設備を用意する必要があります。
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